活版・活字

古き伝統、活版印刷の歴史

15世紀、グーテンベルグが発明した活版印刷術は、19世紀ごろ日本に移入しました。
活版印刷とは、鉛を溶かして型を取る鋳造(ちゅうぞう)を経て作られた「活字」を組版(紙面を構成すること)し、「活字」の盛り上がった部分にインクを付けて紙に押し付け印字する手法のことです。これにより大量複製ができるようになり、一般の人々にも多くの情報が届くようになりました。
実は横浜はとても活版印刷に大きな関わりがあります。活字鋳造・組版の技術が横浜に普及された後、横浜が日本で初めて日本語の活版印刷の新聞「横浜毎日新聞」を発行しました。その後、横浜の印刷技術は和洋両文で全国一を誇るほどになりました。
印刷物のほとんどは現在、扱いやすいデジタルデータで組版されており、活版印刷を使う場面は激減しています。それに伴い、全国でも活字を扱う印刷所や、活字を鋳造する会社は数えるほどしか残っていません。約100年の間、活版印刷を支え続けてきた築地活字はその中の一社です。

「独特の味わい」 世界に1つの活版印刷

活版印刷が、再び脚光を浴びようとしています。
制作から印刷までを一貫して手作業で行うため、インクの量や、紙に印刷する時の力加減によって変わる「独特で個性的な仕上がり」が理由です。
ただの文字ではなく、職人の温もりを押し込められた作品は、オフセット印刷にはない凹凸や紙の風合いなど「匂いたつ色気」があり、1枚1枚が世界に1つしかないものに仕上がります。そこに、「作る」「使う」「伝える」という人とのつながりが感じられます。この古き良き「味わい」を後世に伝えたい。これが「字心」の原点です。
字心は、活版印刷を中心に、活字に新しい価値を見出せるよう、古き良き「味わい」を継承し、作品に触れた皆様に癒しをお届けしていきます。